― 第四章 ―

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. 「なら、何故みんなの前で訊かないでこんな所に呼んだんです?」 「それは……」 「俺が取ったって言った時の事を考えたからでしょう?」 「何か知っていたら、話して貰おうと思っただけだよ」  竜二は唇を噛んだ。  そしてクルリと背を向けて、事務所を出ようとした。 「妹尾!」 「今日は帰らせて下さい」  そう言い残して事務所のドアを開けると、みんなの視線が一斉にこっちを向いた。 「そんな事する奴には見えなかったけどな……」 「しっ!」  誰かの声が聞こえて来た。  それはきっと、ここにいる多くの人間の思いだろう。  そう思えて、竜二は苦笑を漏らした。  黙って足早に工場の中を突っ切り、フルフェイスのヘルメットを被ってバイクにまたがる。  珍しくエンジンを思い切り吹かし、キュキュッとタイヤを鳴らして竜二は道へ飛び出した。 「畜生……畜生! 畜生っ !!」  大声で叫びながら、129号線を南下して行く。  悔さに涙が溢れる。  何度も吐き出す息が、視界を曇らせる。  竜二は途中で脇道へそれると、安岐川の土手にバイクを止めた。 .
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