― 第四章 ―

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.  ヘルメットを脱ぎ、斜面に寝ころんで拳で涙を拭う。  真面目に一生懸命やっているつもりだった。  それを認めてもらっていると思っていた。  しかし、現実は違っていた。  違っていたのだ。  拭っても拭っても涙が出て止まらない―― (一度ミスをしたら、もうどんなに頑張っても駄目なのか?)  そう思った時、下の方で声がした。 「こらっ、諦めるな!」  飛び起きて、声のする方を見る。 「ミスをしても下を向くな。そんな暇があったら走れ! ボールを追え!」 「はい!」  サッカーのジュニアユースチームが練習している。  竜二はその少年に、目を細めた。  自分の子供の頃の姿が頭を過ぎる。 .
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