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竜二がアパートへ戻ったのは、夜の十時をまわった頃だった。
いつもの所にバイクを止め、階段を上がる。
それから壁に片手を突き、力一杯ドアを叩いた。
「俺だ――」
葉月が急いでドアを開けると、竜二は崩れるように部屋へ転がり込んだ。
プーンと酒の匂いがする。
「竜二、こんな所に寝ちゃ駄目」
葉月はドアを閉めてから玄関先で大の字になった竜二を抱き起こし、ベッドまで連れて行った。
「今、水を持って来るわ」
途端に竜二が跳ね起きる。
そして流しに向かおうとしていた葉月の腕を引っ張って、いきなり抱き締めた。
そのまま少し強引に口づける。
「葉月。好きだ……好きだ……」
恥ずかしそうに頬を染めた葉月が呟く。
「竜二、酔ってる――」
「好きだ。おまえも俺を好きだって言っただろ?」
「ええ、好きよ―― 大好き」
葉月が穏やかな声で答える。
途端に竜二は葉月をベッドに押し倒した。
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