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「嘘だろ?雅人」
「ほんとだよ!一昨日、おまえと榎木田の南口の交差点で別れたんだろ?そのすぐ後だよ」
保は雅人の働いているスタンドへガソリンを入れに来て、その話しを初めて聞いた。
「中川が……死んだ?」
すぐには信じられなかった。
別れる時『土曜日にな』と約束したのに、その中川が死んだなんて――
「何で――」
「えっ?」
「あいつ、何で死んだんだよ?」
右手で顎に触れながら、少し俯きがちに保が問い掛けた。
「高浜の方に、129号の旧道からちょうどファミリーレストランの前のバイパスに抜ける道があるだろ?あれを旧道の方から凄いスピードで走って来て、信号無視して交差点に突っ込んだんだ」
雅人は窓にスプレーを掛けて、布で拭きながら話を続ける。
保はその横に立ち、黙って聞いていた。
「ちょうどトレーラーが走って来て―― 二十メートルくらい飛ばされたらしい。即死だったって」
「馬鹿な……。何でそんな走り方――」
「たまたまファミレスにいて見た奴がいるんだけど、全然ブレーキも掛けて無いって現場に来た警察が言ってたって」
普段の中川からは、そんな事は考えられなかった。
いったいどうしたのか――?
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