― 第五章 ―

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. 「嘘だろ?雅人」 「ほんとだよ!一昨日、おまえと榎木田の南口の交差点で別れたんだろ?そのすぐ後だよ」  保は雅人の働いているスタンドへガソリンを入れに来て、その話しを初めて聞いた。 「中川が……死んだ?」  すぐには信じられなかった。  別れる時『土曜日にな』と約束したのに、その中川が死んだなんて―― 「何で――」 「えっ?」 「あいつ、何で死んだんだよ?」  右手で顎に触れながら、少し俯きがちに保が問い掛けた。 「高浜の方に、129号の旧道からちょうどファミリーレストランの前のバイパスに抜ける道があるだろ?あれを旧道の方から凄いスピードで走って来て、信号無視して交差点に突っ込んだんだ」  雅人は窓にスプレーを掛けて、布で拭きながら話を続ける。  保はその横に立ち、黙って聞いていた。 「ちょうどトレーラーが走って来て―― 二十メートルくらい飛ばされたらしい。即死だったって」 「馬鹿な……。何でそんな走り方――」 「たまたまファミレスにいて見た奴がいるんだけど、全然ブレーキも掛けて無いって現場に来た警察が言ってたって」  普段の中川からは、そんな事は考えられなかった。  いったいどうしたのか――? .
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