― 第五章 ―

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.  保は雅人と別れてからも、その事が気になって仕方がなかった。  そして何となく、その足で竜二の工場へ向かった。  やはり竜二も事故の事は知らなかった。 「中川が?」  保は雅人に聞いた事を、竜二に話して聞かせた。 「信じられない……何故そんな」 「そう思うだろ?俺も信じられなくて―― なあ、明日はどうする?」 「…………」  油に塗れた手で工具を持ったまま、竜二は何か考えているようだった。 「竜二」  呼び掛けた声に、竜二が顔を上げる。 「あ……悪い。明日はやろう。みんなに話したい事があるし」  話したい事――  それはきっと中川の事だろう。  そう理解して、保が肯く。 「分かった。じゃあいつもの時間に」  保は軽く手を上げると、大通りへと出て行った。  -*-*-*-*-*- .
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