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「いいでしょ?合い鍵だよ」
ミホはポケットから鍵を出すと、ブラブラさせて見せた。
ペットボトルのお茶に付いていたオマケのマスコットが、ぶら下がっている。
「何でそんな物……まさかおまえ――」
「何?」
「何って……」
いくら高校生だと言ってもミホはもう十八歳で、しようと思えば結婚だって出来る歳なのだ。
でもまさか『おまえたち大人の関係か?』などと、露骨な質問は出来ず――
祐介は困ってしまった。
ミホは祐介の様子を見て、何となく言いたい事に気が付いた。
「分かった。お兄ちゃん、私と竜二が何処まで行ってるか気になったんでしょ?」
「おまえ、そういう言い方……」
「教えてあげようか?私と竜二のカ・ン・ケ・イ」
戯けて微笑む。
祐介は一瞬唇を動かしかけて急に立ち上がったかと思うと、まだ残っているスパゲティを置いたまま、黙って自分の部屋へ行ってしまった。
リビングに取り残されたミホは、その後姿を見送り、首を捻った。
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