― 第五章 ―

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. 「はい。どなたですか?」 「あの――」  ミホは女性の顔を見て、ハッと思い出した。  このあいだそこのスーパーで、Tシャツを見て竜二と間違えたあの人だった。 (じゃああのTシャツはやっばり竜二のTシャツで、この人が竜二のTシャツを着ていた人で、この部屋にいるっていう事は――)  ミホの頭の中は真っ白になった。 「あの、竜二のお友達ですか?」  女性が『竜二』と呼び捨てにしたのを聞いて、益々パニックになる。 「どうぞ、彼はいないけど良かったら入って下さい」 「あ……はい」  女性に誘われるままに、ミホは部屋に入った。  キッチンの方を向いてベッドの横に座る。 「紅茶でいいかしら?」 「え? ええ……」  その人は迷いもせずに紅茶を出して、ティーポットに入れている。  ミホは、何故か初めて来たように緊張していた。  綺麗に片付いた部屋の中を見回す。  小さな食器棚には、このあいだまで無かった真新しいペアのマグカップ。  テーブルの上には、近所の牛乳屋の自動販売機でしか買えない牛乳の空き瓶に、数本のコスモスが揺れている。 .
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