竜の章 その2

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「ウォンウォンッ!ウォンッ!」 竜斗はモフモフの犬がいる、豪邸にやってきていた。今日は飼い主のおばさんに構われて犬が活発に遊んでいた。竜斗は自分がいることに気付かれないよう、少し離れてそれを見ていた。 しばらくすると、おばさんが「よしよし、イイコだ!」と言いながら犬の頭を撫で、家に入っていった。 竜斗は静かに柵に近付くと、犬と庭を眺めた。犬は竜斗が見ていることに気付くと、ハッハッと息を荒げ構って欲しそうに柵に近付いてきた。 (・・・か、かわいいな・・・。) 犬が目的で来たわけではない竜斗だが、人懐こい犬に思わず顔を綻ばせ手を伸ばした。 と、その時――――― 「懲りずにまーた来たんだ?」 嫌な予感に竜斗は手を伸ばしたまま背中がぞわりとするのを感じた。
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