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病院に着くと、受付で婦長の名を出した。
真壁先生に頼んで話を通しておいてもらったのだ。
自分が彼女の実習を担当したこと、そして彼女に身寄りがないことを伝えると、
「そうか…わかった、伝えておくよ。」
と、快諾してくれた。
真壁先生は彼女が高校時代に担任をしていたことがある。彼もまた、彼女のことを心から心配しているようだった。
通されたのは、集中治療室のような部屋だった。
いずれも重篤そうな患者達が十名程並び、数名の医師や看護師達がガラス越しの部屋から様子を窺っている。
彼女はいくつもの管で機械に繋がれ、青冷めた顔をしていた。
―――――事故は運転手が居眠りをしていた大型車との正面衝突だった。
細い道での緩やかなカーブの先から突然現れた対向車に道を塞がれて、河原家の車は避けようがなかった。
後部座席に座っていた彼女だけが奇跡的に助かったとのことだ―――――
致命的な外傷はないものの、出血が多かったことと頭を強く打ったことでショック状態のようだ。意識がいつ戻るのかもわからない。
ベッドサイドの丸椅子に腰掛け、彼女の左手を両手で祈るように包み込む。
「…あったかい……」
初めて感じたその温もりに、一真の瞳は涙で滲んだ。
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