一真の章

42/45
前へ
/598ページ
次へ
―――――ピッ…ピッ…ピッ… 規則的な機械音に目が覚める。 一真は河原奈都の手を握り締めたままで眠ってしまったようだ。 (………夜明け前、か…) ほんのり白み始めた窓の外の景色にぼんやりと思った、そのとき――――― 「…おと…さん…かあ…さん…」 微かに聞こえた声にパッと下を向く。 「…河原?気が付いたのか!?」 顔を覗きこみ声をかけると、彼女は潤んだ瞳のまま一真の方へと視線を向けた。 「………?」 確かに目は合ったのに、わずかに眉間に皺を寄せ、彼女は再び目を閉じてしまった。
/598ページ

最初のコメントを投稿しよう!

231人が本棚に入れています
本棚に追加