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その後医師や看護師が来て河原奈都を診察していったが、まだしばらくは様子を見るしかないようだった。
再び彼女の手を握りしめながら、血の気を失った青白い顔に不安が募る。
ーーーーーもし、このまま彼女の意識が戻らなかったら…?
そう思うとゾッとした。
(神様…頼むから、彼女を連れていかないでくれ……彼女を助けるためなら、俺の寿命なんか半分になったって構わない…だからどうか助けて……!)
神様の存在を信じることなど到底できない環境で育った一真にとって、それが人生で初めての神頼みだった。
どれくらい時間が経っただろうか…一真は河原奈都の手を握りしめたまま、眠り込んでいた。するとーーーーー
「…安藤…せんせ…?」
声が聞こえた気がして一気に眠りから覚める。
「…河原…!?」
思わず至近距離から彼女の顔を覗き込む。
「…俺が誰だかわかるか、河原?」
その問いに彼女は小さく頷いた。
安堵から緩みそうになった涙腺に力を入れて、一真は彼女を抱きしめた。
「…良かった…良かった…本当に……」
一真の言葉は心からのものだったけれど………
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