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side Jiji
私、ジジ=ユニゾンは困っていた。
その理由というのも、最近のゼクス様は戦闘訓練もお仕事もしないで部屋に籠もってパソコンばかり。
今のままでは、勇者の襲撃にでもあったときに最悪の事態を招きかねない。
そして今日、とうとう恐れていた事態が起こってしまったのだ。
今晩未明、魔王城に勇者が侵入したと報告を受けた私は、すぐさま魔力を感知する魔法でゼクス様の魔力を探索する。
すると、ゼクス様の部屋からゼクス様の魔力は当たり前として……もう一つ正体不明の魔力が感知された。
まず間違いなく、この正体不明の魔力は勇者のモノ…。
そして、これは正しく勇者がゼクス様と接触したという事に他ならない。
頭に最悪の結末がよぎる。
「ゼクス様……どうかご無事で……」
私は何よりも早くゼクス様のいる玉座の間へと向かった。
玉座の間へと到着した私は、勢いよく扉を押し開くと――。
「ゼクス様ーーー!!」
「ぉお、なんだジジか」
そこには勇者はおらず、代わりにゼクス様の気の抜けた言葉が帰ってきた。
「ゼクス様!!よかったご無事で!!」
杖を使って急いでゼクス様のもとへ向い、肩をつかんで思い切り歓喜の声をあげた。
無事でよかった……
そればかりで頭が一杯だった。
ゼクス様のお世話係を先代
つまりはゼクス様のお父様直々に任せられてから早十六年。
ゼクス様は随分と大きくなられ
最初こそで魔力も小さかったが……
今では立派に先代の力を受け継いで、世界最強と呼ばれるまで強く偉大になられた。
まぁ……少し引きこもりがちではあるが……。
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