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「そのようでは、世界を支配するなど出来ませぬぞ!!」
私はゼクス様に激を飛ばした。
今甘やかしてはいけない、もしこの御方に何かあれば、私は先代の魔王様の墓前に顔向け出来ない。
私を信じてゼクス様を託して下さったのだ、それに報いる為にも私はゼクス様を立派な大魔王にしてみせる。
それが、今は亡きあの御方に出来る唯一の事。
だから私は自分に鞭を打ち、この小さな魔王を叱る。
だが、ゼクス様の意志は思った以上に固かった。
「えぇ~、元からそんな気ないしぃ~、面倒だからやだ」
子供のように駄々をこねるゼクス様。
もう説得は無駄なようなので、これだけはしたくなかったが……最終手段を使う事にしよう。
「はぁ……わかりました。あなたがその気なら此方にも考えがあります」
私は腕を上に上げ、指をパチンと鳴らす。
それを境に、ゼクス様のパソコンの電源が落ちた。
城内のスタッフに予め合図と同時に玉座の間だけに電力供給を遮断するよう話をつけておいていた。
よって、迅速にそれが行われたのだが、思いのほか早かったのでビックリした。
「頼むジジ、それだけはやめてくれ」
珍しく真面目に謝ったゼクス様に若干戸惑いながらも、「ちゃんとお仕事してくだい」とだけ言って流しておいた。
これでゼクス様が更正して下さればよいのだが、最近の若者は逆に反発するほうが多いと聞く。
まぁ、この御方に限ってそれはないと思うけれど。
「では、少し用事を思い出したので、私はこれで」
とくに用事なのないのだが、このままだとゼクス様にずっと何かブツブツ言われる羽目になるので早急に退散。
ゼクス様の叫びを背に私は玉座の間を後にした。
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