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「ゼクス様ァアアアアアアッ!!」
勇者を封印したモン〇ターボール(自作した単に物を封印するだけの玉)をまじまじと見ていると、自室の扉が勢いよく開け放たれた。
「おお、なんだジジか」
「ゼクス様ァ!! 良かったご無事で」
ジジはよれよれの体を杖で支えながら此方へ歩み寄ってくる。
そして、俺の目の前まで移動すると、シワだらけの顔を更にくしゃくしゃにしながら徐に肩を掴んで。
「良かった! ホント良かったァ! このジジ、ゼクス様にもしもの事があったらのなら幹部の奴らとの賭けに負けてしまい――なんてことではなく、先代に顔向けできないでありまする!」
「よしよし、ジジよ、まず落ち着こうか? それと何やら不穏なワードが聞こえた気がしたけど気のせいだよな? ん? ん?」
俺の事を心配してくれるのは嬉しいが、肩を激しく揺らされながら話されるのは思った以上に気持ち悪い。
ジジは一瞬ポカンとして固まっていたが、さっきまでの自分の行いに若干の恥ずかしさを感じたのかゴホンと咳払いをして、普段の神妙で落ち着いた顔に戻った。
「ゴホン、それで。侵入した狗はどこへ?」
「狗じゃねえ勇者だ。心配するな、それなら此処に封印してある」
目を細く窄め、警戒するように辺りを見回すジジは、その老体に似合わず凄まじい気迫を感じる。
此方としても、そんな殺気全開のジジを放っておくと本当にちびっちゃいそうなので、安心させる為にも勇者を封印してあるモン〇ターボールを差し出す。
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