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モン〇ターボールを受け取ったジジは、ボールをまじまじと見つめて、徐に口を開いた。
あああ
「なるほど、確かにこの玉からはあの憎たらしい駄犬の羨ましいオーラが滲み出ておりますなぁ。して、ゼクス様はこれをどうするおつもりで?」
ボールの外郭をクルクルと見回した後、安心したように溜め息をついて、ボールを俺に返却する。
勇者が封印しているのは確認出来たようだが、それでもジジは警戒の空気は解かない。
その証拠に、嫉妬かなんだが知らんが後ろから黒いオーラを出して今にもボール握り潰さん限りの力をいれたままこのボールの行方を聞いている。
あわゆくば、こんなものすぐにでも破壊してやる! 汚物は消毒ぅぅぅぅぅwww
……とでも思っているのだろう、さっきから目線がボールを一点に捉えて動かない。
「んー。取り敢えずは俺が預かる、ってわけじゃダメか?」
それを聞いたジジは、今日何回目だろう溜め息を吐きながら、困ったように顔をしかめて俺を見る。
「……はぁ、恐縮ですがゼクス様、そのボールはすぐにでも破壊すべきであります」
「えぇ……なんでだよ?」
「なんでじゃありません。今季に入って王国軍の襲撃はもう数え切れない程なのですよ?ゼクス様がそのようではジジは心配で夜も眠れません」
お前は俺の母ちゃんか! と言いたいところだが、それを言うとまた怒鳴られそうなので割愛。
とにかく今は面倒くさいこの状況をなんとかせねば。
「大丈夫だよ、ジジ」
「はい、ゼクス様? 何ですかその気持ち悪い笑みは」
「どんなに勇者が来ようとも、その度に俺がぶっ倒してやる、それでもまだ諦めないなら、まずはその幻想をぶち壊ーー」
「それではダメなのです!!」
「……はい」
流石ジジさん得意の言わせねーよスキル! 俺に発言の機会を与えて下さらない!
てか、なんでこうも俺の周りの人は話を聞かないのかな。
某幻想殺しの人の如くカッコ良く決めようと思ったのに、割り込まれちゃ意味ないやん?
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