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「とにかく、その忌々しい勇者はすぐにでも抹殺すべきです!さぁ、ボールを此方へ」
「だが断る」
「この駄王!」
「うるせー!」
ジジが此方に手を差し出すが、俺は頑なにそれを拒む。
だって無意味な殺生とか嫌だもん、神様とか俺マジ信じるタイプだから。天国いけないじゃん。
まぁ時と場合によるけども。
「ゼクス様が殺生を嫌うのは重々承知しておりまする。ですが、それでは何よりゼクス様のお命が危ういのですぞ!!」
「だ、か、ら、俺はそんな簡単に死なないよ」
ん?何でかって?
そんなの魔王だからに決まってんでしょ。この世界に、何千億という魔物共を統べる魔王様ですぞ?
第二十四代魔王、ゼクス=アストロメリア。今この世界でその名を知らぬ者などいないよ。
自慢じゃねえが、生まれてこの方数えるほどしか外に出てない。後は全部独学さね! 生き物の友達いねえよ! 機械が友達だよ! ニート魔王だからってなめんなよ。
「てことなんで、殺される可能性も無ければ負ける心配もなし。家の中だしね! これでジジの寝不足も解消されるってもんよ」
「解決になっていませんよ」
「いんや解決でいいじゃない。てか待たせてる友達がいるから、さっさと終わらせたいんだけども」
因みに友達とは、ネットの中の『アニソンを語る会』という掲示板にいる唯一の友達である。
ついさっきまでチャットしていたんだが、勇者が来たため急遽中断。
そのまま王座の上に置きっぱなしにしているのだ。
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