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「もういいです。あなたがその気ならば、此方にも考えがあります」
そういうと、ジジは徐に腕を上に掲げると、そのままで指をパチンと鳴らした。
その瞬間、王座の上で確かに起動していたパソコンが、ブツンと音を立てて画面が真っ暗になった。
「え……、な、なんぞ!?」
「たった今、この城内の中で“ゼクス様の部屋だけ”電力供給をストップさせて頂きました」
「な、なんだってえぇぇぇぇ!?」
まさか、さっきの指パッチンはそれを行う為の合図!?
てか、それだけで電力供給をストップさせるってこの城のスタッフどんだけ仕事速いんだよ!?
「て、のんびり突っ込んでる場合じゃねぇ!! ふっざけんな!! 絶賛ニート人生謳歌中の俺からパソコンを取り上げるって事は、一言に野垂れ死ねって言ってんのと同義だぞ!?」
「いいじゃないですか。この際パソコンは卒業して、ニート人生じゃなくて魔王らしく破壊と血に染まった人生を歩んで――」
「出来るか!!」
「――ならパソコンは諦めて下さい」
鬼畜すぐるよジジさぁぁぁぁん!!
ニートでチキンな魔王が世界征服とか出来るわけないでしょうがぁぁぁあああ!!
「頼むジジ……それだけはやめてくれ」
「ならちゃんとお仕事をして下さいね」
「ぐっ………」
「では、私は少し野暮用を思い出しましたので、ここで……」
「え、ちょ、何お前転移の魔法の準備をして……、……? ジジ待っ――」
「――失礼します」
「待ってぇぇぇッ!!」
願うも虚しく、ジジは転移の魔法をつかって目の前から姿を消した。
残されたのは、足元から姿勢を崩し、泣きながらうずくまる俺と、何も語らぬ屍と化したパソコンのみ。
ジジが消え去る瞬間、満面の笑みを浮かべていたのは、きっと勘違いだと信じたい。
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