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ジリジリと陽射しが強くなり、川に人が増える頃、商店街には屋台を所々に設置されていく。
小さな駅前通りにある店の窓には、祭りのポスターが貼られだし、駅の正面の少し広くなってる場所には大太鼓と櫓がセットされる。
夏の始まりの1ページ
俺はそわそわする。
楽しい夏の訪れと共に父と兄が遊びにくるからだ。
この日も朝から公園に出かけた。
公園には小さな御堂があり、それを取り巻くように、ブランコ、シーソー、滑り台、ジャングルジム…とある。
俺はジャングルジムのてっぺんが好きだった。
四角ではなく、角ばった球体のジャングルジム。
そのてっぺんからは、国道が見える。
田舎だから車の通りも少ないが、夏は帰省関係か、若干増える。
それでも渋滞にまではならない。
俺は国道を見ながら、父の車に似た車を探すのが楽しかった。
夏のこの時期は、実際父の車が通るので、今日か…今日かと朝から見ていた。
そろそろ昼がくる。
婆ちゃんが作る昼飯は、夏はほぼおにぎりで、俺はそのおにぎりが好きだった。
おにぎりを食べにジャングルジムを下りようとした時、父の車が見えた。
俺は急いで下りて、駐車場にしている空き地まで走り駆け寄った。
小さな足で、一生懸命走った。
それでもやはり、迂回してたどり着く父の車には間に合わず、俺がたどり着く頃には、父は車を停めてトランクからバッグを下ろしていた。
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