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『あんたら、なんねぇ。男三人が死んだような顔して。』
後ろから声が聞こえた。
彼女はクニの彼女、敬子。
男勝りな性格で、たまに俺達とつるんだりする。
『まだ、あの事件から立ち直れんの?。よいよ、はぁ、情けない。男ならチャッチャッ、チャッチャッ、前を歩きんさいや。忘れる必要ないけど、引きずる必要もないんよ』
元気のない俺達は、しょっちゅう叱られる。
敬子は敬子なりの優しさだろう。
『ほんとお前なぁ…。アイツと絡んでないけぇ、簡単に言えるんじゃ。…考えたら、俺は……』
クニは最後の言葉を言わない。
涙ぐんだ目を見れば何を言いたかったか予測はつく。
『あんたもなんねぇ。私の彼氏ならしっかりしんさいや。私は話とかしたことないけぇ分からんけど、あの人の為に胸張って生きるんも勇気なんよ。その勇気を天国に逝ったあの人に見せつけて、毎年報告しちゃらんねぇ。…それだけで、十分供養にもなるし…残ったあんたらの罪滅ぼしにもなるんじゃない?…。私は先に帰るけん、今の自分らの姿、よぉ考えんさいや』
敬子はクニの肩を力強く叩いて走り去った。
なんか吹っ切れた瞬間だった。
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