吹奏楽の定理

入部

「えっと…、南中です。あっ…と、部活はやってませんでした」

不思議と、頭に話すことが浮かんでくるようになった。

「奏空ちゃん、だよね??なんで入部しようと思ったの??」

柚希が、まっすぐ奏空を見る。

奏空は、沈黙した。
なんでと言われても。

「吹奏楽部の先輩が練習してるのを聞いて…かっこよかったから、です」

その、先輩とはまぎれもなく柚希のことなのだが。