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奏空の気配に気がついたのか、演奏がふと止まった。
奏空は息を詰めた。
演奏者は男子生徒だった。
しかし、なぜか着物を着ていた…。
黒髪に、透き通るような白い肌。若草色の着物が驚くほどよく似合う、少し大人びた顔立ち。
しかし、そんなことはどうでもいい。
「は?」
混乱がそのまま口にでてしまう。
一方、その男子生徒は優しそうな笑みを向けた。
「赤のネクタイってことは、一年生?」
「えっ、あっはい」
「入部希望者?本入部は来週だよ」
答えに困る奏空に、さらに畳み掛ける。
「あっその…すいません!」
そう言って立ち去ろうとしたところに、
「僕は部長の柊木柚希。もしよかったら、吹奏楽部の宣伝しておいてね」
奏空はもう、なんか泣きそうだった。
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