旅行のきっかけ

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おかんが玉造温泉の湯は良いと誰かから聞きつけ、温泉旅行を企んだ。 費用全部おかん持ちである。 嫁と仲が悪いので、その嫁の機嫌を取るために企んだ。 だが、嫁の運転を当て込んでいるので、有り難みが薄れる。 嫁は嫁で、額面一万円のガソリンカードをおかんに買わせ、高速料金もおかんにかぶせた上、メシとフロがただである。この上、小遣いまでせびるのは、やり過ぎであろう。 7月1日から4日まで、金曜日から月曜日までの三泊四日であるが、私は土曜日の午後5時まで、米子市の学習塾の仕事のため動けない。日曜の夜だけ泊まる事にして、日曜朝から夕方まで、松江市内を動き回った。 県庁や島根大学は、用事があった訳ではない。 この機会に松江市内のバス路線をマスターしたかったのである。 松江市内のバスは、複雑怪奇、ぐにゃぐにゃ曲がりくねり、真面目に最短コースで走らない。 路線図を頭に叩きこんで置かないと、徒歩30分の目的地に、バスで一時間かけるハメになったりする。県庁、松江宍道湖温泉駅、島根大学は、しばしば訪ねる用事があるから、色んなバスに乗り、どのバスがどこを経由するか頭に叩きこんだ。 島根原発だけが、実際に行きたかった場所である。 両方で5000円のプリカを使い切った。(松江→玉造温泉のバス代を含む) 温泉旅館なんてもんは、所詮は、フロとメシだけのモンである。 夕方つけば良いのである。 おかんと嫁との家族旅行であるから、どうせ、いかがわしくも楽しい場所には行けない。
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