序章<初まりの福音>

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見上げれば、青い空がひろがる。 雲一つさえもない空だ。 ……………………。 カーン…カーン…カーン…。 鐘の音が鳴り響いた。その音に反射的に反応し、音源の方を見た。 そこには、白い建物があった。建物には、十字架が描いてあり、その横に、無色透明で、向こう側の海が透けて見える鐘があった。 鐘は私に言った。 「良い知らせでございます。」 「誰からだ?」 私は、鐘に尋ねた。鐘は即座に答えた。 「…あの人。E様からです。あなた様にとって、喜ばしいことでございましょう。」 「……そうか。用件はなんだ?」 「まず、指示した場所に来てくれ。とのことです。」 「では何故良い知らせと分かる?」 鐘はどうも怪しい。利用されてるのではないかと、私は既に疑っていた。 「そう伝えろ。と、おっしゃっておりました。」 だが、こう言われたため、何も言えなくなった。 鐘が用件を言い終えると、どこからともなく、体のガッチリした者が現れた。 「そちらは、護衛と道案内をする者でございます。では…」 カーン…カーン…カーン…。 再び、鐘が三回鳴り響いた。
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