「痛え……」

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なのに。 なんでかな……。 もう終わってるはずなのに、人間ですらねえ気がすんのに。 この心臓は、今でも時々ぎゅっと締めつけられるような痛みを感じて、俺を苦しめる。 まもなく俺の部屋まで漂ってきた料理の匂いは、今でも覚えてる匂いで。 昔は同じ空間にいて、「早く飯にしてよ。マジ腹減ってんだけど」なんて急かしたりしてたのに。 くそっ……。 どうせなら、心も無くなっちまえばいいのに。 「痛え……」 真っ暗な部屋の中、自分の声だけが小さく響いた。
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