256人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、ほんとだ。遠征前に配られた資料にもちゃんと書いてある。でも、よくそんな細かいことを覚えてるね」
テレーは感心してワルトを見つめた。
「んー。まあ、俺も一応新人だしな。資料には全部目を通しておこうかと思って」
どこかぎこちなく頭をかくワルトに、テレーは思わず吹きだした。
「へえ、驚いた。テキトーが売りのワルトが、いつからそんなに真面目になったんだか」
「何だよ。俺だってやるときゃやるんだぜ?」
ワルトは目の端で、笑いをこらえているテレーをちょっとだけ睨んでやった。
「仔竜の革は希少だから、少しでも取れればちょっとした収入になるかもしれないね。迷惑をかけた村の人へ、少しでもお礼になったら良いのだけど」
竜の処分という大変な作業を村人に任せきりにしてしまったことを、テレーは気にかけていたらしい。
「さすがは貴族、竜革に詳しいな。俺が持っている竜革製品と言えば、竜騎士になった特に軍から支給された、あの青色の飛行服くらいだよ」
今度はワルトがテレーに感心する番だった。
最初のコメントを投稿しよう!