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坊主頭を下げて平謝りをするグリンデルを残し、テレーが本部の中へ入っていく。
グリンデルはテレーが扉の中に消えたのを確認すると、おべっかに使っていた笑顔が一転して仏頂面に変わった。
「ふん、若造が偉そうに。貴族の相手も骨が折れるわい。おいソーマ、さっさと参考人を拘置所に連行するぞ」
低く縮めていた背中を再びぴんと伸ばしたグリンデルは、ぶつぶつと文句をたれながらソーマに声をかける。
その隣にいるワルトに気付くとバツが悪そうに作り笑いを浮かべ、ソーマを連れて足早に去っていった。
エリーを乗せた護送車が二頭の馬に引かれて、ゆっくりと進んでいく。
ワルトは護送車が通り過ぎていくのを、ただじっと見送った。
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