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時空郷の主にして、六星幻時界の最高神がこのような子供姿では少々どころか、かなり拍子抜けしてしまうが、創主本人曰わく「形式や様式に囚われるなんて、ナンセンス以外他にない」と語っている。
こんな自由奔放な始まりの神の創主は先程から絶景を眺めながらボヤいている。
「最近コレといった事件もないし、変にこの世界に迷い込む子猫も来ないし、あーもぅ、暇だね~……。めっちゃ暇だぁ!!」
創主は腕を上げて万歳のポーズをとると、そのまま床に倒れ込むと、今度はゴロゴロと左右に転がり始める。
六星幻時界の最高神とも呼ばれる存在である創主ではあるが、その役割は世界維持の柱という役目以外、その仕事はほとんど無いに等しく、実際、神としての役割で働いているのは、六星界の神々だけである。
故に、創主は常に暇を持て余している状態であり、このように絶景を見ては暇と言ってゴロゴロ寝転がるのは日常茶飯事である。
「久しぶりに人間界の様子見でも行ってみるか?……ああでも、この前派手に暴れすぎて弥勒(みろく)のヤツに怒鳴られたっけ?……ったく、あの子もいちいち規律に縛られすぎなんだよねー」
ブツブツと文句を垂れる創主の様子は、どこからどう見ても自分の持つ不満に対して文句を言う子供そのものである。
コレがこの世界で一番偉い神様だとは、ますます信じがたい光景である。
「『退屈は魔女をも殺す毒である』とはよく言うけどさ、神様にとっても退屈は体の毒だよね。……まぁ、死を持たない私にとっちゃあ、意味無い話なんだけどね?」
寝転がりながら、ボヤく創主であったが、そのボヤきに対し、少女の声でさり気ない突っ込みが入れられる。
「それは創様だからこそ言えることですよ?他の神(ひと)達では、こんな暇を持て余すような日常を毎日過ごすことなんてできませんからね?」
「んぁ?」
少女の声に反応した創主は寝転がった状態で視線を上の方に向けると、そこには創主と同じ子供の姿をした一人の少女が微笑みを浮かべながらお盆を持って立っていた。
「他の連中の事なんて知ったこっちゃないね。アイツ等は色々と頭が固いだけなんだよ……っと!」
少女の突っ込みに、創主は口を尖らせて答え、腹筋の力を使って勢いよく身を起こした。
そんな創主に、少女も微笑みながらゆっくりと創主の隣に腰を下ろした。
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