1章[時空郷]

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 『始まりの神』と大同盟軍との戦争は、八百億年にも渡って幾度も幾度も繰り返され、後に『終焉戦争』と呼ばれる最終決戦にて、『始まりの神』は自身の力の全てを出しきり同盟軍に敗北。  以降、『始まりの神』は長い間深い眠りにつくこととなったが、大戦争による犠牲はあまりにも大きいものであった……。  多大な犠牲は出したが、『始まりの神』が深い眠りについてる間、世界は目まぐるしく復旧し、発展することになり、『始まりの神』が長きに渡る深き眠りから目覚めた時には、世界は既に『始まりの神』が知っていた時以上の発展を成し遂げた未来世界へと移り変わっていた……。  『始まりの神』自身が引き起こし、大同盟軍との大戦争も、今となっては遥か神話の一部として語られているだけであり、そこに『始まりの神』が存在する場所は無かった。  『六星界』、『幻想界』での存在すべき場所を失った『始まりの神』は、『時空郷』の世界でしか、その身を置くことしか出来なくなり、退屈をしのぐために、時折異次元世界への旅をすることになった。  その間、様々な出会いも会ったが、『始まりの神』の存在性を理解できるような存在との出会いは無かった。  長い長い時を超えて、『始まりの神』は次元世界の世界という世界を旅し続け、そして長い長い旅の果てに、『始まりの神』はようやく自身の存在性を認め、その居場所を与えてくれた『存在』と巡り合えることとなったのである……。  数多に広大に広がる次元世界……。  本来、それぞれ異なる次元世界同士が交わることは決して無い。それは当然、異次元世界同士の住人達が互いに親交を深めることも不可能ということになる。  だが、そこに〝それ〟を『可能』とする『存在の力』が働けば、如何なる『不可能』なことも瞬時に『可能』となる。  『不可能』を『可能』に変える程の強大な力を持ち、全ての生命の根源の力と呼ばれる『存在の力』……。  その『存在の力』を司り、操る能力を持つ『時空郷の創造神』である『始まりの神』……。  あらゆる能力を凌駕する強大な彼女の能力が、次元世界に干渉をもたらした時、世界は新たなる幻想曲を奏でることとなる。  他の異次元世界の住人達が決して知ることのない、世界でたった一つだけの幻想曲が、今、静かに、ゆっくりと奏で始める……。  『時空の郷より来たりて』
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