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雄大なる大自然。それは見るもの全てを圧倒する程の大自然が辺り一面に広がっている。
広大な森を形成する樹木はいずれも太古の時代に存在していたものを彷彿させるほど皆巨大であり、現在では絶滅したと思われそうな植物が森の至る所に生えている。
森の東側にはまるで南国の海を思わせるような、白い砂浜と澄みきった青い大海原が広がり、西側には薄紅色の大量の桜が山々を覆い、南側には暗く蔦や苔が鬱蒼と生い茂った樹海が一面に広がり、北側には純白に輝く万年雪が山々の山頂部分を白く染め上げている。
そんな大自然の中でも一際目立つ大きな山が、威風堂々と鎮座している。
日本一の富士の山にも匹敵する程の山には長い長い石造りの階段が山頂まで続いており、山の麓や中腹といった場所には、所々に神社の社が建っている。
山の山頂部分には、中腹や麓の神社とは比べ物にもならない程の大きな神社が建っており、それはまるで天空都市の如く山頂部分の大部分を占めていた。
しかし、この大自然にある建物はこの山全体に配置されている神社のみであり、他は全くと言っていいほど人工的な建物は存在していなかった。
大自然の中に大きな神社のみがあるこの世界の名は『時空郷』。……この世の全ての『存在』の『始まり』を生み出した『始まりの神』が住み、日々を暮らしている世界である。
そして、天空都市の如く築き上げている神社の名は『時空神宮』。……山の麓を含め、山全体がまるまる神社の境内という途方もない敷地を持つ神社である。
深い森の中に、ぽっかりと開けた場所に、飛行場の滑走路のように長い石畳でできた参道には、ズラリと灯籠が左右対象に並べられ、山の麓や中腹、山頂部分の至る所には、朱色で塗られた明神鳥居が設置されている。
これ程の広大な境内を持つ神社に住まうのは、当然、この時空郷の主たる存在にして、この世界そのものを生み出した『始まりの神』であり、いわばこの神社はこの世界におけるあらゆる神社の総本山でもあった。
豪華絢爛な山頂部分の総本殿には、屋久島の縄文杉を遥かに上回る程の巨大な桜が満開に咲き誇っており、風が吹き抜けていく度に甘美な香りが突き抜けていく。
総本殿の巨大桜は、時空神宮の中でも一際目立ち、甘美な香りと共に舞わせる桜吹雪は、絵にも描けぬ美しさと優雅さを醸し出している。
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