運動会のお弁当

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お昼になって みんなお母さんの作った お弁当を食べてる 【これイヤだ…】 【うわぁ美味しそう…。】 あちら こちらで 華やかなお弁当を囲んで にぎやかに弾む声が聞こえて うらやましかった…。 私には、母の 手作りのお弁当の味が 思い出せない‥‥。 私は、みんなの微笑ましい 様子を眺めて 自分の面影とダブらせていた お父さんは仕事で疲れてるから 出来る事は 自分達でやろうと 兄と2人で朝早く起きて 頑張って作った お弁当 でも不格好なお弁当を 人に見られるのが恥ずかしくて みんなが家族で食べてる中 友達から離れて 応援席にポツンと、 1人で座っていたら 私の場所に 兄がやってきて 『食べようか‥‥!』 そう言って 巾着袋から 朝2人で作った 形の汚いおにぎりを出して 2人で食べた‥ 回りの華やかな、お弁当が うらやましかったけど 私にはお兄ちゃんが そばにいてくれる…。 それだけで 頑張れた‥‥。 だからリレーだって 何だって きっと今頃 お父さん、お母さんの 代わりに 応援席で見てくれてると 思って頑張れた… 小学校の 運動会の写真は 私も兄も一枚もないけれど でも、私達の記憶には 確かに今でも残ってる‥ ・
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