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それから数ヶ月たって
田舎を離れる日がやって来た
兄は、私の荷物を
トラックに運んでいる間も
自分の部屋からは、
出て来なかった‥
父が運転してきた
4tトラックに
最後の荷物を積み込み
私は助手席に乗りこんだ‥‥
父が、おじさん達と
挨拶している間
1人で車の中で待っていると
コンコンッ!と
助手席の窓ガラスを
兄が、叩いてた
慌てて窓ガラスを開けて
兄と顔を見合わせた‥
兄は、手を伸ばして
握っていた人形を
私に差し出した‥‥
『これ‥俺の宝物だけど
みかにやるよ!』
兄が 凄く大事にしていた
調合金の仮面ライダーの
人形だった‥‥
『いいの‥?』
兄は、笑顔で
『兄ちゃんだと思って
大事にしろよ‥!』っと
精一杯の笑顔で、私に手渡した
父が、トラックに乗り込み
エンジンがかかった時
兄は、ゆっくり
トラックから離れ
大きく両手を振った‥
おばちゃんと
おじちゃんの手前
笑顔だったけれど
スイッチが入ったら
今にも泣き出してしまいそうな
兄の顔面は真っ赤だった‥
『頑張れよ‥‥!』
『うん‥』私も、笑顔で
手を振った‥‥‥
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