其の七

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「ん?」 「い、いつから気付いてたの?俺が冬夜先輩のこと……その……」 「……あ」 そういえばまだ冬ちゃんのことが好きって確定してたわけではなかったんだった。 でも、健ちゃんの様子を見ると当たっていたみたいだね~。 「ん~。一年の終わりくらいからかなぁ」 最初にあれ?と思ったのは確かそのくらいだった気がする。 「俺ってそんなにわかりやすい?」 健ちゃんが心配そうな目で見つめてくる。 「冬夜先輩も知ってたのかな……」 「え?」 「……俺さ、言ったんだよね。冬夜先輩に。その……好きって」 健ちゃんは、少し泣きそうだった。 「冬夜先輩、俺が告白してからあんまり目を合わせてくれなくなったんだ……どうしよう、俺……」 「健ちゃん……」 いつも元気な健ちゃんだけど、今はすごく小さくて、弱い生き物に見えた。 でも…… 「健ちゃん、とりあえず食べちゃおう。冷めちゃうよ~」 僕にはどうしたらいいのかわからない。 僕にも好きな人ができたら、わかるようになるのかな。
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