初めに代えて

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 いつもの喫茶店で、いつものパスタを食べて、いつものアップルパイをデザートに、やつは紅茶を一口飲んだ。     「あのさ、お前布団ってどれくらいで干す?」 「はい?」      やつの質問に、俺は飲みかけていたコーヒーカップを止めた。     「週に1回……かなぁ? 平日は干せないだろ」 「うーん」      やつには、突然変な質問や話をする癖がある。  高校からの腐れ縁のおかげか、そんな事にも驚かなくなったが、それでも直ぐには理解できない。     「なに? 布団干したくなったとか?」 「うーん」      真剣そうに眉間にシワを寄せて、やつは唸り続ける。  それでもアップルパイは完食済みだが。     「あのさ」 「ん?」      やっと話す気になったのかと、俺はカップを置いてやつに顔を向けた。     「布団の上でお菓子を食べるのって、良くないね」 「は?」 「今朝気付いたら蟻に囲まれてて」 「捨ててしまえそんな布団!」      やつとの会話は、たいていこんなモノである。
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