HAPPY BIRTHDAYは悲しい言葉

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 ふと不意に、そういえば……と零次が話題を変える為に声を漏らす。 「今日って美月ちゃんの誕生日じゃなかったか?今年は何をプレゼントするのか決まったのか?」  その言葉に激しく動揺する陽太。 「あっ!や、ヤバい……なにも決めてない!どどどど、どうしよう零次ッ!?」 「うん。とりあえず、吃(ども)りすぎてキモチ悪いから落ち着け。まぁ……お前のことだから、そう言うと思ったよ。しかたない、放課後に付き合ってやるから買い物に行くぞ」  そんな零次の発言に涙を浮かべながら前賃としてオムレツを献上した陽太は、友人を称賛する言葉を口にした。 「おぉ……あなたが神ですか!?さすが『三度の芥子(けし)より世話が好き』の零次様!僕の親友……いや、心の友よッ!」 「日本語は正しく理解しようね、陽太君?芥子ってアヘンの事だから。麻薬中毒者じゃないけど、そんな人が心の友だと漏れなく君も愉快な危ない仲間達だからね」  零次は福々と笑顔を浮かべる陽太を尻目に、本日何度目かわからない深い溜め息を溢すのであった。  
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