prorogue

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 今朝の外界は何処か、不思議な情景を醸し出していた。  澄み渡る快晴の空には陽気に誘われた小鳥達の囀(さえず)りが心地良く響き、地平線からは真っ赤な太陽が顔を出す。  普段、草花が彩る手入れの行き届いた自慢の庭園には朝靄(あさもや)が漂い、朝陽を浴びる情景は、それだけでも息を飲む程の神秘性と幻想性を醸し出していた。  ふと自然に笑みがこぼれた。 まるで私の門出を祝福している様だ、と。  今日が私の……『セレスティナ=ファクトゥル』の夢への第一歩になるのだから――。  
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