HAPPY BIRTHDAYは悲しい言葉

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 喧騒溢れる校舎の一室。 聞き慣れた時鐘の音が鳴り響く中、息も絶え絶えになりながら、なんとか遅刻寸前で登校することが出来た陽太は、グッタリと机に倒れ伏していた。  そんな『たれぱんだ状態』の陽太の下、朝礼の連絡事項を済ませた教師が退室したのを合図に、一人の少年が近づき声をかけた。 「よう、朝っぱらから大変だな。遅刻常習犯の『太陽』君?」  その軽口に反応した陽太は、笑みを浮かべる友人に目線を合わせると、口を尖らせながら言葉を返す。 「おはよう、零次(れいじ)。いやいや、今日は遅刻してないからねっ!」  そんな陽太の反論に、零次と呼ばれた少年は諭す様に言葉を投げる。 「まぁまぁ、落ち着け。毎回ギリギリに登校してくる奴が反論しても説得力に欠けるし、それよか教師に言わせたら常習犯って呼ばれても仕方ない、だろ?」  そんな事実を告げられては反論の余地が無さすぎるのだが、陽太は認めたく無いのだろう。 「うぅ……僕は睡眠欲に忠実なだけなのさ!それに美月が起こしてくれるから最近は3日に1回しか遅刻してないでしょ?」  成長成長とムネを張る陽太に対して、零次は項垂れる様に頭を抱えながら、友人の行く末を按じて呟いていた。 「あぁ、18歳にもなって2つ下の妹に起こしてもらうなんて、恥ずかしくないのか、こいつは……」
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