HAPPY BIRTHDAYは悲しい言葉

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 他愛ない話題で駄弁っていると、授業の開始を告げる鐘の音が鳴る。 「おっ、鐘鳴ったか。じゃあ席戻るから、また後でな」  そう言い残して零次は自分の机へと戻って行った。 ◆◆◆  平日の正午は瞬く間に過ぎ、今は昼休み。 生徒も疎(まば)らになった教室の中で陽太は母特製弁当を、零次は食堂の惣菜パンを広げながら、昼食を摂っていた。 「いつみても、陽太ん家の弁当は美味しそうだよな……ずいぶん偏ってるけど。いや、個性的って言った方が良いか」 「なにも言うな、零次。丹精込めて作ってくれたんだから不平不満は……ゴメン、ちょっとある」  もはや見慣れた『黄色一色』の内容物に自然と溜め息が溢れてしまうのは、しょうがない事だろう。 「タマゴが好きって言ったけどさ、主食がオムライスでオカズがオムレツと茹でタマゴって……どう思う?さすがに毎日三食これだから、そろそろタマゴの食べ過ぎで鶏に訴えられても可笑しくないと思うんだけど」  そう愚痴る陽太に零次は『将来は鶏にジョブチェンジだな』などと軽口を呟きながら終始苦笑いを浮かべるしかないのだった。
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