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草原は、白と黒に別けられていた。
白は、森の切れ目を背後にした、精霊やエルフ達。
黒は、森に向かい合い、地平線を埋め尽くすカオスコムとダークエルフ達。
睨み合う互いの真ん中に、白い男と黒い女が立っている。
白い布を幾重にも巻き付けた男は、エルフの様に金髪で肌は青白く、緊張に小刻みに震えていた。
黒い甲冑に身を包んだ女は、漆黒の長い髪の毛を無造作にまとめ、自分より頭二つは背の高い男を見上て、笑う。
「なぁカウカセス、さっさとやらなくていいのか?」
重たげな両刃の剣を軽々と一振りすると、隣で緊張の為か蒼白になっているカウカセスに、ゴートスはいつもと変わらぬ口調で話しかけた。
その問い掛けにカウカセスが見下ろすと、笑顔の彼女には緊張や迷いは見えない。
「ああ。始めよう」
ゴートスの無邪気な笑顔に苦笑を漏らすと、カウカセスの顔から緊張が消えた。
そして、終わりが始まった。
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