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ですがこの症状は10数時間で消え、その後、急激な体温の低下が始まります。異常な血圧の低下から意識混濁におちいり、身体の末端部分で血流が滞るようになります………そしてここからが説明できないのですが、血流の滞った部位の細胞が、急速に死んでゆくのです。
高熱の下がった段階から、患者は壊疽特有の、チーズに似た悪臭を放つようになります。そのスピードは早く、耳や鼻、指先の壊疽が始まってからわずか2~3時間で皮膚の腐敗がはじまり、壊疽は全身に広がります。
本来ならこの時点で患者は壊疽毒と多臓器不全のため死亡しているはずなのですが………信じがたいことに、症状の進行した多くの患者はここで意識混濁から回復し、ぼんやりとですが会話ができるほど意識を取り戻すのです。その後、症状の進行は止まり、病状は均衡状態をむかえます」
SUB:アントン
「死亡率はどのくらいなんでしょうか?」
COM:ヘフナー
「WHOの報告では平均10%未満とされていますが、その多くが発病数日を経ており一概に死亡率が低いとはいえませんね」
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