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真夏の日差しが照りつける中、1人の少年が老人の前で剣の稽古をしていた。
全身が汗に濡れ、眩しい日差しにキラキラと反射している。
「も、もうダメ……。少しだけ休憩を……」
少年を厳しい眼差しで見つめる老人は、その言葉に首を横に振る。
「お前は強い剣士になって、この村を護りたいのじゃろう?」
「そ、そうだけど……せめて水だけでも……」
少年は老人に拝むように顔の前で手を合わせた。
そして返事を待つ事なく、木陰で待つ少女の元へと走って行く。
「---水ね」
少女はため息混じりにそう言いながら、カップに冷たい水を注いでいった。
少年は、そのカップを受け取るとゴクゴクと一気に飲み干していく。
「おかわり!」
「ねぇティッド……もう少し落ち着いて飲めば?」
「フェリスはそう言うけどさ、本当に喉がカラカラ何だよ」
「ハイハイ……」
フェリスと呼ばれた少女は、カップに水を注ぐとティッドに手渡した。
「ありがと!」
受け取ったカップを再び空にするティッド。
そんなティッドを黙って見つめるフェリスの表情は、どこか暗かった。
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