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魔族に変異した者は、すぐに王国から追放される。
追放された者は国を恨み、人を恨み、争いが起きるのだ。
「ねぇティッド……」
フェリスは走り去るティッドの背中を見ながら呟いた。
「あたし魔族になっちゃったんだよ……」
フェリスの瞳には大粒の涙が浮かんでいる。
その涙が頬を伝わり、地面を薄く濡らしていった。
だが、ティッドは気付かない。
もし、ティッドが気付いたら何と言うだろうか……。
好きで魔族になる訳ではない。
それでも魔族と知れば、人は冷たい眼差しを向けるのだ。
フェリスは肩を震わせながら泣いた。
そして、ティッドに気付かれないように立ち上がると、フェリスは逃げるようにその場から去って行く。
もう会う事はないだろう。
もし、会うような事があれば、お互いが争う事になる。
フェリスには、そんな事は絶えられない。
フェリスは追放される前に、自ら村を出る事を選んだのだ。
そして、二度とティッドに会わないと心の中で誓っていた。
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