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否、俺は行動を開始する。
俺の足は落ちている純の教科書には向かわない。
かといってそのまま通りすぎるわけでもない。
悩んだ末、俺が選んだ選択肢は『拾う』でも『拾わない』でもなかった。
出された選択肢だけを選んでいてはギャルゲーと変わらない。
それでは現実で攻略する意味がない。
――俺が選んだ三つ目の選択肢。
それは、
「あの、大丈夫ですか?」
『話しかける』だ。
ここで俺が話しかければ自然と、今、純が置かれている状況になった理由を聞くことが出来る。
そしてそれに乗じて教科書拾いを手伝うことが出来る可能性が生まれる。
自ら進んで教科書拾いを『手伝う』ことと、相手に頼まれて『手伝う』ことは意味合いが全然違う。
純にも俺の第一印象を『積極的な後輩』から『親切な後輩』へと変えることが出来る。
まあ簡潔に述べるとあれだ。
俺は『何でもいいから純の教科書を拾う理由を作りたい』ってことだ。
とりあえず第一関門クリアと見ていいだろう。(この間コンマ五秒)
俺はイベントを成功させるため純の言葉に耳を傾ける。
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