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「いやー見苦しいところを見せたな」
先輩はそう言い、俺に頭を下げる。
そしてそのままちらりと先輩は横を見て、
「……こら、純も人を待たせたんだ。頭ぐらい下げたら?」
おどおどと、何をすればいいかわからない新入社員のように立ち尽くす純を諭すかのように言う。
「え……。あ、そ~だね~。あはははは……」
純はぎこちない動きで頭を下げる。
顔が笑ってませんよ先輩。
というか入学式初日から先輩二人に頭を下げられるのもどうかと思う。
先輩二人に頭を下げさせている後輩。
……なんか色々やばそうだな。
少しフラグ処理しとくか。
「いや、別に頭まで下げる必要ないですよ? 何も自分の非になるようなことはされてませんし……。頭を上げてくださいよ先輩」
俺はそう言いながら教科書を、ようやく顔を上げた純に渡す。
「これ、落ちてましたよ?」
「え? あ~! ……もしかして拾ってくれたの?」
そりゃ落ちてたら拾いますよ。
純の言葉に先輩は呆れた顔で、
「だから人を待たせたんだって言ったんだよ」
「す、すみません……」
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