358人が本棚に入れています
本棚に追加
……。
もうこれは『ただの』イベントだ。
結果的に連絡先を教えあうための『であい』イベント。
連絡先なんて直接本人に聞けば良い。
恋愛もくそもあったもんじゃない。
『友情』を深めるだけ。
別にそれでもいいじゃないかって?
確かに恋愛相手に友情も確かに必要だがそこまで深い関わりはない。
恋愛に最後、必要となるのは『恋愛イベント』だ。
そう、このイベントは言わばまやかしなのだ。
少しばかり先入観にとらわれすぎてたな。
俺は心の中でそう決め込むと行動を開始する。
「……では自分、用事あるんで」
多少強引で構わない。
俺は言葉を続ける。
「さよ―――」
「教科書拾ってくれてありがと~。私、宮場純(ミヤバジュン)。よろしく!」
……しまった。
こいつの要素は天然だったんだ。
天然相手に会話は成立しない(ギャルゲー論)。
とゆうか聞こうとしないんだ、天然は。
そして基本、女子からの自己紹介は返さなければならない。
なので俺は渋々、
「一年三組の長臣永灯です……」
そしてそのまま一気に締めの言葉を言い切る。
「じゃあ自分はこれで。――また会えると良いですね」
俺は歩を進める。
「会えるに決まってるよ~。同じ学校なんだから」
俺の背中に純の言葉が降ってくる。
見ると純が手を振っていた。
俺も手を振り返す。
こうして入学式初日。
純との『であいイベント』は幕を降ろした。
攻略一日目 了
最初のコメントを投稿しよう!