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俺が今やっているのは最近発売されたギャルゲーの中で最も人気があるとされる「ターゲットロックオン!」
これは親友でもあり幼馴染みでもあるヒロインが主人公のことを好きで、主人公もヒロインとのイベントを繰り返すうちにその思いに気づいていく。
だがそんな二人の仲を『過去の事件』が壁となり邪魔をする。
ヒロインはそれを理由に付き合えないと言うのだが主人公は「そんなこと関係ない」と言い切り、最後二人は結ばれてFINにたどり着くのだ。
……とまあこんな具合にまだまだ紹介したいゲームは山ほどあるのだが、それだと両手の指では数え切れないほどのゲームを紹介することになってしまう。
そんな少し偽リア充を、当時受験前だった俺は感じていたのだが……。
――ある日、つまらないと感じてしまった。
それは何故か。
それは『ゲームの中の主人公の行動』と『自分であったらこうするであろう行動』が全くもって一致しなかったためである。
いわゆる欲求不満というやつだ。
「何故こいつはこんなとこでこんな選択肢しか選択できないんだ?」
自分だったらもっとうまくやるのに。
この『歯痒い気持ち』は数多のギャルゲーをクリアするたびにその数を増していった。
……何をしたらこの『歯痒い気持ち』は収まる?
ギャルゲーを製作した本社に連絡をして新たな、俺の満足のいくゲームを創ってくれるよう頼むってか?
――そんな面倒なこと、金払われてもごめんだ。
……他の、もっと簡単で単純な方法はないのか。
俺はギャルゲーをプレイすることも忘れて夢中で、我を忘れる勢いで考え込んだ。
「…………」
――結果一つの解決方法が俺の頭から編み出されることとなった。
「俺が実際に現実で女子を攻略したらいいんじゃないか?」
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