神様と一人の男

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「あら、閖。今帰ったの?」 私を嘲笑いしながら、私の近くにある部屋から突然出てきたのは、簾藤 五十鈴〈れんどう いすず〉。 ……私の実母だ。 「何を、しているんですか?お付きの人たちの元へ、早くお戻りになった方がよろしいのでは?」 彼女となるべく関わりたく無い私は、早く彼女から離れる為に彼女を付き放す様な言葉を彼女に放つ。 彼女は、私の言葉などお構い無しに私に近付いて来る。そして、私の頬に手を添える。 「……閖、憶えておきなさい?誰もアンタの事なんて見ていないわ?みんなが見ているのは“貴女”じゃ無くて、“貴女の中に居る神”。自分が“特別”だなんて思い上がった考え、直ぐに棄てなさい?みんなが可哀想だわ?」 何時も、私と会うとこの人はこう言う事を言う。真っ暗な言葉を私に向かって毎回囁く。 暗い闇を落とす。 私は彼女をキッと睨みつける。 「この絆は永遠の物。貴女なんかに理解されなくて良い……理解なんて出来やしないんだから!!」
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