神様と一人の男

16/19
前へ
/67ページ
次へ
「っえ?」 私の質問が唐突過ぎたのか、閑は目を見開いて私を見るだけだった。私はそんな閑に向かって言葉を紡ぐ。 「閑は“絆”が無いから、私に構う必要なんてないんだよ!!離れたくなったら、いつでも離れて……」 「ちょっ、ちょっと待ってよ、閖!!」 閑は興奮状態の私の肩を掴み、真剣な眼差しで私を見る。私は小さく震えながら閑を見上げる。 閑は暫くすると、深いため息を吐く。 「一体どうしたの?誰にそんな事言われたんだよ?」 閑は大きな声で言わず、優しい声で私に尋ねる。 私は閑から視線を話す。閑はその私の行動から察したのか、眉を寄せ、皺をつくる。 「“あの人”に言われたの?」 「……」 彼の言う“あの人”。それは、私の母を指している。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加