神様と一人の男

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私は彼の言葉に黙る。すると彼は、また溜め息を吐く。 「閖……俺はお前から離れたいなんて思った事無いよ?」 彼が優しい言葉を掛けてくれているにも関わらず、私は彼に視線を向けない。ずっとそっぽを向いたままだ。 閑はそんな事お構いなしに、続きを話し始める。 「閖?例え他の神が解放されて、離れて行ってしまっても俺は、俺だけはお前の傍に居続けるよ?昔から、そう約束していただろう?それに俺は、閖から離れる気なんて毛頭ないよ」 「……閑」 漸く私は顔を彼に向け、瞳に彼を捉える。彼はいつもの優しい微笑みを私に向けている。 私は彼の背中に腕を回す。彼もそんな私を受け入れてくれる。 「ずっと、傍に居て?離れないで?……離れて、行かないで?」 「あぁ……俺は絶対、お前から離れないよ」 彼の言葉に私は涙する。閑は自分の胸に私を押し当て、頭を撫でて宥めてくれる。
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