神様の愛する神様

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私が落ち着くと、閑は優しい微笑みを私に向け、また明日と言って自宅に帰って行った。 閑が部屋から出て行った後、私は一人縁側で満月を眺めていた。 ……そんな私の処に一つの影が迫る。 「こんばんは、閖」 「……こんな時間になんの用?悠〈はるか〉」 私に話しかけてきたのは、風の属性神の生まれ変わりである、深緑の髪、エメラルドグリーンの瞳を持った、颯天 悠〈そうま はるか〉。 彼は漆黒の着物を身に付け、企みを含めた笑みを浮かべている。 「いえ、この家から閑君が出て来るのが見えたものですから」 悠は口は笑っているが、目が全く笑っていない。悠は何も言わずに私の隣に勝手に腰を下ろす。 「閑が来たからなんだって言うの?」 私は苛々するのを抑え、平常を保って悠に尋ねる。 悠は気に食わない顔をして私を見る。私は黙って悠の言葉を待つ。
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