神様の愛する神様

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「っで?お前は何しに此処に来たんだ?」 「閖さんに会いに来たんだよ。僕らが閖さんに会いに来る事は“当たり前”の事何だから」 時雨は悠の回答に溜め息を吐く。悠は相変わらず乾いた微笑みを向けている。 時雨と悠は自他共に認める親友だが、それでも悠は掴めない男の様だ。時雨の苦労が痛い程分かるよ。 「良いから、お前はもう帰れ。閖だって明日も学校があるんだから」 悠は肩を竦めると、スッと立ち上がり此方に浅くお辞儀をすると、暗闇の中に消えて行った。 随分あっさり行ってしまったので、私は呆気に取られてしまう。 「すまないな。悠、何か余計な事を言わなかったか?」 時雨は優しい。多分、どの神々よりも優しいだろう。曇りの無い真っ直ぐな優しさを彼は持っている。 「……どうして時雨が謝るの?それと、悠は何も言ってないよ」 私は時雨が心配しないように、笑顔で時雨の質問に答える。
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